2009年7月24日金曜日

25. 「風」

「風」というと、はしだのりひことシューベルツの曲を思い出す(北山修作詩)

人は誰もただ一人 旅に出て/人は誰もふるさとを振り返る
ちょっぴり淋しくて 振り返っても/そこにはただ風が吹いているだけ

この曲が流行ったころは、小学生だったと思うなあ。ラジオか何かで聴いていた。2番の歌詞に、

プラタナスの枯れ葉舞う 冬の道で/プラタナスの散る音に 振り返る

というのがあって、「プラタナス」という言葉の響きに惹かれてしまった。そういう名前の木があるのだ。知らなかったなあ。

「風」という言葉のなかには、なぜか「自由」と同じような響きがあるように思う。「風のように自由に」という言い回しがあるからかなあ。ないか? あったような気がする。これも歌の題名か?

風を盛り込んだ歌はいっぱいあるなあ。柴田南雄という人が北原白秋の「風」という詩をテキストにした合唱曲は、とても美しい曲だ。

遠きもの まづ揺れて/つぎつぎに 目に揺れて/揺れ来るもの 風なりと/思う間もなし 我いよよ/揺られ始めぬ

よく考えてみると、風というのは面白い現象だ。それは現象であって、「風」そのものは実体としては存在しない。空気の流れるさま。それを感じると「風」と呼ぶのだ。(どうだ、まじめくさった文章だろう)

だから、風そのものを捉えることはできない。木が揺れる、草が揺れる、洗濯物が揺れる、自分の身体が揺れる、涼しい、寒い、そういうことを感じると、「あ、風が吹いてる」と思う。

ところが、風を捉えようとした人もいる。昔々「炎の人 ゴッホ」という映画を見た。子どものころだったので、詳しいストーリーはほとんど覚えていない。ラストで、麦畑のまん中でせわしなく油絵を描き上げたあと、銃で自殺するシーンは衝撃的だった。こどもやったしね。そのラストと同じぐらいに印象に残っているシーンがある。友人のドガと共同生活を送っている時のこと。その地方に嵐がやってきた。みんな戸を閉め切ってびくびくしている。するとゴッホがドガに、
「さあ、今だ! 風を描きに行こう!」
と言って、嫌がるドガにイーゼルほか画材道具一式を持たせて、強風の畑の中に立たせる。もちろん、イーゼルは強風に吹き飛ばされ、キャンバスもぼろぼろ。ドガが、「もうやめよう、早く帰ろう」と叫ぶように訴えても、ゴッホは、「これだ! 今がチャンスだ! これを描くんだ!」とこちらも叫びつつ吹き飛ばされそうなイーゼルを必死で押さえる。もちろん絵なんか描けるわけもなく、あきれかえったドガは、「もう知らん!」とその場をあとにする。
まさに「炎の人」!
芸術家って、こういうものかなあと、幼い頭に漠然と印象づけられたのでした。

「風」というのは、芸術家の魂を刺激するものなのかもしれませんな。

自然な風はとても気持ちがいい。自然な風が起こらない時は扇風機も回すけど。風があるとないとで涼しさはずいぶん違う。気温が少々高くても風が吹いていると涼しく感じたりする。逆もあり。気温はそんなに高くないのに、風が吹かず蒸し暑い、という時もある。
昔の天気予報には「不快指数」というのがあったなあ。あれはいつからなくなったんだろう。たしか湿度と気温から割り出して、80以上だと「全員不快」とかいう指針になっていたと思う。中学生のころ、理科の時間に習った覚えがある。
ひょっとしたら不快指数の中に「風力」というのはなかったか。なかったかなあ。なかったような気がする。でも風は天気の中では大事な要素だと思うけどなあ。
特に思うのは洗濯物関係。洗濯物がよく乾くかどうかは、なぜか風がよく吹くかどうかが大きいらしい。風通しがよいとよく乾くのだと。湿度とかもあるんだろうけど、大きくは風通しらしいです。だから、くるくる回る洗濯物干しなんかがあったら、きっとよく乾くんだろうなあ。どうやって回す? 誰か考えてくれ。

ここ2,3日、梅雨の大雨で各地で被害が出ている。こんな時に強風が吹いたらもっと大変だ。ほとんど台風。雨は必要だけれど、災害は困る。人間は勝手なんだけど、そこは都合よくなってほしい。もちろん、どちらが力を持っているかといえば、自然にはかなわないんだけど。なにしろ相手は、宇宙が始まった時からあるのだ。こちとら、「人間」になってから、ほんの数万年しか経っていない。キャリアが違う。ですから、ちょっとだけお情けを。こちらもちょっとは謙虚になりますから。

自然の風に吹かれつつ、そんなことを考える。自然はいい。自然はエライ。


夫婦して、話があっちこっちするなあ。そういう共通点があるのが、また面白いけど。
次のお題。自然がいいって言ったけど、文明の利器の恩恵にあずかっているのも確か。
この時期、冷たいものが常時手に入るのは大きいです。
というわけで、次のお題、「冷凍冷蔵庫」といきましょう。

ぶたこ、コレ書いて~(^◎^)

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