2009年7月2日木曜日

14. 「洗濯物」

洗濯物と聞いて、まず思い浮かぶのが、こないだ死んだうちの猫、ぶーこかなぁ。洗濯したてのタオルの上にのっかるのが大好きやったな。我が家の場合、洗濯はたこぶの担当で、たたむのも彼独自のやり方があるので、普段はあまり私は手出しをしないのですが(心からの感謝を持ちつつ・・・ね(^oo^))、昨日は、夕方から一気に雨が降ってきそうだったので、洗濯物を取り込みました。バスタオルやタオルをテーブルの上でたたみながら、あー、ぶーこがいないから、誰もこの上に乗ってこないなあ・・なんて寂しく思っていたのでした。


さて、次に洗濯物といって思い出すのが、何度か経験した海外生活です。
国によって、あるいは、人によって、全然ちがうんですよね、洗濯物を「乾かす」過程が。

私が最初に短期留学したカナダのバンクーバーでの一ヶ月。家の前には広いお庭。芝生がいっぱい。ここに物干し場があって洗濯物を干したら、絶対気持ちいいぞーって思ったけど、いつも洗濯物は乾燥機で乾かしていて、お天気がいい日なんかには、もったいないなぁ・・なんて思ったもんです。その体験で、西洋の人は屋外に洗濯物を干さないのが普通なんだって知ったのでした。

次に体験したのは、ニュージーランド、オークランドでの三ヶ月。今からもう七年前のことだ。ニュージーランドといえば、かつての英国の植民地でその影響を受けているし、英語を話す国だし、きっとここでも洗濯物は乾燥機バリバリだろうという私の予想は、見事に裏切られます。

私が滞在したのは、小学校の教師をしているステイマザー一人暮らしのお宅。「もったいない精神」にあふれた方で、そのお宅も離婚された元ご主人とボロボロだった古家から、自分たちで何もかも改装したとおっしゃってました。そして、そのお宅では、洗濯物は外の物干しで乾かすのが基本だったのです。少々曇っていても、干してはったなぁ。私も週に一度洗濯機を使わせてもらって、外に干していました。ザザ降りのとき、冬になって空気がいつも湿ってきて、どうしても乾かないときだけは乾燥機を使うこともあったけど、雨のときでさえ、室内に小さな物干しを広げまくって、干してはりました。いわゆる「部屋干し」ですな。

エコ意識はとても強い人で、私が滞在した秋から冬の時期、暖房はほとんどつけず。そのステイマザーが愛用していたのが、湯たんぽでした。そう、日本のあの湯たんぽと、ほとんど同じようにモノ。テレビを見ながら、ソファでくつろぎながら、いつもお腹の上に湯たんぽをのせ、その上からひざかけのような毛布をかけて、暖をとってはりました。その後、帰国してから、私も思わず湯たんぽ買ったなぁ。

それから3年後の2005年、私はNYで三ヶ月ホームステイをしました。ブルックリンのサンセットパークという地区。ここでのステイマザーとの洗濯物についての会話も忘れられません。

私が滞在したのは、年配の夫婦に子どもとお孫さんという三世代の家族。夫がイタリア系移民、妻がロシア系移民というカップル。ステイマザーが話してくれたことによると、その地域は、何十年も前まではヨーロッパ系移民がほとんどだったんだけど、ここ10年かそこらの間に、中国系移民がものすごい勢いで増えてきた。実際私がもう一度滞在した去年、この地域はブルックリンのチャイナタウンという呼び名もあったぐらい。

ロシア系のマザーとしては、若い頃には近所にたくさん同じヨーロッパ系移民の友人がいたのに、それがどんどん家を売って別の地域に引っ越していく。一人減り、二人減りと、知り合いがいなくなり、今では、家の周り全部が中国系の人たちに。そして、彼らの多くは英語をあまり話せないし、自分たちの国以外の人とあまり交流しようとしない。文化が違うわけだから、いろんなすれ違いや誤解もおこってくるわけです。

その象徴に洗濯物があったんですね。
「あの人たちは、汚いよ。だって洗濯物を外に干すんだから。景観が乱れて、この地域の値打ちが落ちるったらありゃしない」というのです。私はちょっと驚きました。そうか、外に干すっていうだけで「汚い」ってなるわけかって。ダーティという単語をしっかり使ってはりました。私は、その汚いといわれた中国人の人たちに同情してしまって・・・。だって、彼らにしたら普通のことだし、環境にもいいわけだし。それから私は、一生懸命、日本でも洗濯物は外に干すし、ニュージーランドでもそうだったし、ヨーロッパでも外に干すところがあるって聞いたし、アメリカとちがうところも多いんだよって。太陽の下で干したら、消毒になるとも聞くし、エコにもなるよって。彼らの文化なんだよって。一応マザーは興味ふかそうに聞いてくれて、そんな文化もあるのねって感じだったけど、その後、近所の人たちの洗濯物の干し方に理解を示したかは、知りません(^oo^;)



まっ、私の育った環境では、洗濯物は外に干すのが普通なわけだけど、考えてみたら、パンツとか下着とか、普段ならそんな姿をさらさない部分に着るものまで、外に干してしまうんですもんね。下着を隠して干す人もいるだろうし、下着は乾燥機で・・・という人もいるだろうし、夜中にしか洗濯できない人は、日本でも乾燥機を使う人も増えてきてるみたいだし。でも、わが家はいまだに洗濯物すべてを外に干してますな。乾燥機を使うのは、洗濯の後、しわ伸ばしの目的で少しだけ。その後干す。


このことを、去年NYに滞在していた間、同居していたリサと話したことがあります。リサは、外に干すのって素敵よねーって言ってくれました。エコじゃないのーって。アメリカ人って、エコエコっていうけど、スーパーの袋は二枚重ねないといけないぐらい薄っぺらで、一枚でも破れない丈夫なものを作ろうとはならないし、何枚も重ねてもったいない使い方。職場や交通機関の車内やアパートの室内などの冷暖房は考えられないぐらい極端。夏の冷房は凍えるぐらい寒く、冬は半そで一枚でも脱ぎたくなるぐらい暑かったりする。このエネルギーはどうなんだって。電気は、蛍光灯はあまり普及していなくて、白熱灯がほとんど。電気代はかかるんじゃないかなぁ。そして、洗濯物。乾かしすぎなんじゃないのってぐらい乾燥機が乾かしてくれて、布地が傷んでしまったり(^oo^;) 何事も極端というか、やりすぎというところまでいくというか。

誰か一人だけが外に干していたらそれはやっぱり恥ずかしいんやろなぁ。うちの近所でもほとんどの家がベランダに毎日干してはるからこそ、干してるんでしょね。もし近所の人が誰も干してなかったら、うちも干してないかも。やっぱり「世間体」は気にするし、周りのムードに一致するように行動するのが人間なのね。


ってことで、私にとって、洗濯物の乾かし方ってのは、とてもとても「文化」なのでありました。


あー、色々こうやって思い出したら、面白かったな。

次のお題は何にしようかな。
夏らしく・・・・うんと、「扇風機」、これにしよう。


たこぶ、コレ書いて~(^oo^)

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