2009年6月26日金曜日

7. 「キラキラ」

マイケル・ジャクソンが輝いていた時代というのは、実はほんの少しの間だけだったような気がする。世界的なヒットになったアルバム「スリラー」、その5年後かにリリースされた「バッド」、次代に残る作品といえばそれくらいじゃないだろうか。実は「スリラー」で、新しい世界を開いたように見えて、やれることは全部やってしまったような印象だ。当時、ホラー映画の巨匠として人気を集めていたジョン・ランディスが監督した「スリラー」のビデオを(深夜のMTVで)見て、驚いて呆れて引き込まれてしまった。でも、「これ、何回も見たいとか聞きたいとか思うかなあ」とも感じた。もともとソウル・ミュージックには興味なかったし、ディスコ・ミュージック(死語か)にも興味なかったし(踊れないし)。集団のダンスは見事だと思ったけど(振り付けも斬新だとは思ったけど)、「だからどうした?」という思いも強かった。「スリラー」からシングルカットされた曲はどれもミリオンセラー。そんなアルバムは過去には存在しなかったから、大変な話題になったけれど、逆に「次は?」というプレッシャーはあったに違いない。5年後に出た「バッド」は、「スリラー」から発展できたのだろうか? 聴いてないから知らないけれど。MTVの「バッド」の映像は、「スリラー」ほども、「ビート・イット」ほどにも驚きもなく、なんだかなあという感じだった。その後にアルバムを出していることなんて、まるで知らなかった。別に興味がないから知らなくてあたりまえなんだけど。

マイケル・ジャクソンは「キラキラ」というイメージからはほど遠い。
ただ、「スリラー」のビデオクリップを作ったことで、時代を変えたとは言えるかも。それまではただ「歌ってる姿を流す」だけだったビデオクリップが、お金をかけて映像に凝って、話題を作ってアルバムも売れる、という図式を作ったのだから。これはビートルズが「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を作って、LPレコードの意義をすっかり変えてしまったのと同じくらいの出来事だったかもしれない。

それでも「キラキラ」というイメージからはほど遠い。

「キラキラ」というと「いつも輝いている」ということと、「周囲に輝きをふりまいている」というイメージがある。それでいて「ギラギラ」というほどまぶしさがいやらしくなく、「ヒラヒラ」というほど軽くもなく、「チラチラ」というほど目を凝らす必要もない。

思いつきでいろいろ書いたけど、重ね言葉っていっぱいあるのだなあ。読み返してみて思うのだけれど、それぞれ一瞬の動きではなくて、継続しているというか、持続している動きのような気がする。これが「キラリ」だとか「ギラリ」だとか「ひらり」だとかだと、一瞬の動きだけで、でもそこに惹かれるものがあるような印象だ。
マイケル・ジャクソンは「キラリ」と光ったのかもしれない。


「キラキラ」という言葉は、次に「光る」と続けて言ってしまう。「キラキラひかる」というドラマもあったなあ。元は小説か。
「キラキラ光る」というと、僕には昔歌った合唱曲がすぐに思い浮かばれる。山田耕筰の「夕焼けのうた」という曲で、多分「修善寺物語」のなかで歌われるのだと思う。歌っていた当時は、そんなことはまったく気にもかけずにただ歌っていたのだが。あの歌詞は誰が書いたのだったか(今、楽譜を探せば出てくるんだろうけれど、めんどくさいので記憶を頼りに書いています)。多分詩も山田耕筰だったのではないか。夕焼けこやけがキラキラ光る、というだけの歌詞だったが。中に、
「鐘が鳴る鐘が鳴る/寺の御堂の/十字の鐘は/キラキラ光る」
というのがあり、「十字の鐘」というのが何のことかさっぱり分からなかった。楽譜に書いてある歌詞だけを追いかけていくと「十時の鐘」かと思って、夜の10時に鐘が鳴るのかと思ったが、それでは「夕焼け」にはならない。
誰かが漢字の歌詞を見つけてくれて、「十字の鐘」と書いてあったのだ。それでも、何のことだかますます分からなかった。分からないまま歌っていると、指揮者の先生が
「教会の尖塔の、十字架の下にある鐘が光ってるんだよ」
と言ってくれて、そこでようやく「寺の御堂の」というのがキリスト教会のことを指すのだと分かったのだった。分かりませんよ、そんなん。寺と言われたら日本の寺しか思いうかべへんもん。
さらにこの歌の「キラキラ」という表現が一番の決め所だ! というわけで、「どんなキラキラにしたいの?」と問いかけられながら歌ったことが忘れられない。
言葉から、どんなイメージを受けて、それをどう表現するか。歌う時に一番大事なことなんだろうなあ。しょっちゅう忘れるけど。


「キラキラ光る」といえば星。ときどき夜空を見上げることはあるけれど、都会ではポツポツとしか光る星を見ることはできない。満天の星は、空気のきれいなところに行かないと見えないだろうなあ。
昔、「天の川」を見たことがあった。琵琶湖で合唱団の合宿をした時だ。雨上がりで天気もよかったんだろう。夜空を見上げると、天気がいいはずなのにすじ雲のようなものがかかっている。友人が「天の川や」と言ったのだが、信じられなかった。ただのすじ雲だと思った。だが、「合間から星が見えるやろ。ということは、あのすじ雲のように見えるのが、星の後ろにあるってことや。せやからあれが天の川や」という物知りの友人に言われて、改めてほほーっと思ったのだった。
天の川を見たのはその一度きりだ。またいつかどこかで、見られる時があるだろうか。都会では無理だろうなあ。


「キラキラ」を書きながら、さて、次の題は何にしようかと考えていた(キラキラは、難しかった(^◎^;))が、「星」だとか「天の川」だとかだと、まるで連想ゲームみたいでかえって面白くない。
なので、全く関係ないものにしましょう。

次のお題は、「すっからかん」でお願いします(_◎_)

ぶたこ、コレ書いて~(^◎^)

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